認知症は予防できる?

みなさんこんにちは、ヴィデビムスクリニックの児島です。

クリニックの常勤医として会員の皆様の健康管理のお手伝いをさせていただいています。皆様ご存知のようにヴィデビムスクリニックは加藤先生を中心とするコロンビア大学医学部の監修で東京にできたバイリンガルのクリニックです。

皆様の健康維持に関わる情報を随時お届けしようと思っています。よろしくお願い致します。

 

 

 

 

認知症は予防できる?

 

認知症の中で最も患者数が多いアルツハイマー型認知症。アルツハイマー型認知症は進行性の脳疾患で、発症初期は記憶や思考能力などが徐々に障害されますが、症状の進行に伴い身体機能も低下し日常生活や簡単な動作、作業が出来なくなり、最終的には寝たきりになってしまいます。

現代の医学では残念ながらアルツハイマー型認知症を完治させたり、その進行を止めたりする事は出来ません。しかし、健康的な食事や運動など、シンプルな生活習慣を複数実行する事によって、アルツハイマー型認知症の発症率が大幅に減少するという研究結果が今月アメリカのロサンゼルスで開催されたAlzheimer’s Association国際学会で発表され、注目を集めています。1

 

 

ラッシュ大学のDr. Klodian Dhanaらは5つの生活習慣(①脳に良い健康的な食事、②週に150分以上の中等度から高度の運動、③喫煙していない事、④少量から中等量の飲酒、⑤脳の認知機能を刺激する活動)に着目しました。彼らは認知症のない約2400人のアメリカ人高齢者を約8年間追跡調査し、そのうち約500人の高齢者にアルツハイマー型認知症が発症した事を確認しました。そして5つの健康的な生活習慣とアルツハイマー型認知症の発症リスクとの関係性について解析を行い、これらの健康的な生活習慣が多ければ多いほどアルツハイマー型認知症の発症率が低い事を発見したのです。具体的には健康的な生活習慣が一つ増える毎にアルツハイマー型認知症の発症率は22%減少し、4~5個の健康的な生活習慣を行っていた高齢者は、0~1個の高齢者と較べると、アルツハイマー型認知症の発症率が60%も減少しました。以前から長寿や健康増進のために生活習慣の重要性は認識されていましたが、複数の健康的な生活習慣を取り入れる事によってアルツハイマー型認知症の発症率を大幅に下げる事が出来る可能性を示したという点で非常に興味深い研究結果です。また食事や運動、禁煙などのこれらの健康的な生活習慣は高齢者においてもすぐに実践しうる内容です。我々ヴィデビムスクリニックが目指す「機能障害の早期発見と予防」というテーマにもつながる有意義なデータです。

1.Lifestyle Interventions Provide Maximum Memory Benefit When Combined, May Offset Elevated Alzheimer’s Risk Due to Genetics, Pollution, Alzheimer’s Association International Conference (14-18 July 2019); 2019. https://www.alz.org/aaic/releases_2019/sunLIFESTYLE-jul14.asp. Accessed 14 July 2019.

 

 

プロフィール

児島剛太郎

2003年東京大学医学部卒業後、4年間日本にて主に内科で臨床を行った後に渡米。2010年ニューヨークのロングアイランドカレッジ病院で一般内科研修を修了し、アメリカ内科専門医を取得。その後はハワイ大学老年病科フェローシップに移りアメリカ老年病科専門医を取得。2013年よりロンドン大学(ユニバーシティーカレッジロンドン)で臨床研究に従事し、2019年に医学博士を(PhD)取得。2019年よりヴィデビムスクリニック常勤医。主な研究分野は改善可能な生活習慣や脆弱性(frailty)の研究。